あなたは、自分の出したい歪み音を出せているでしょうか?
YouTubeを見まくって購入を決めたディストーションペダル。弾いてみると思ってたのとは違う、イマイチな音しか出ない。
以前、歪み系ペダル選びのコツについて記事を書かせていただきました。
オーバードライブ編:オーバードライブ難民にならないための基礎知識 おすすめも
ディストーション編:ポチる前に見て欲しいディストーションエフェクターの選び方
気に入って買ったはずの選んだ歪みペダル、なのにいい音がしない。そんな人に向けて、ギター歴25年以上のRimo(@RimoGT)がお話しさせていただきます。
なぜ動画で見たあの音が出ないのか
弾き方のせいなのか、ギターのせいなのか、いややっぱりこのペダルじゃなかったのか、真空管アンプじゃないからか…そうやってドロ沼にハマっていく。そんな経験はありませんか?
そう、私もハマってしまいました。
それはそれで楽しいわけですが。
しかしなぜ、YouTubeで聞くギターサウンドと自分のサウンドにはこうも差があるのでしょう?
ギターの音を決める主な要素は、ギター、アンプ、シールド、エフェクター。その中でも盲点になりがちな部分を今回はお話ししていきます。その後、解決案もご紹介します。
結論:ギターは箱鳴りが大事
結論は、「スピーカーキャビネットを見直しましょう。箱鳴りさせて良い音を出しましょう」ということです。
例えば定番の歪みペダルであるチューブスクリーマーやボスのSD-1なんかの演奏動画をみて、うっとりするようなクランチやど迫力のオーバードライブサウンドを鳴らしているのをご覧になったことがあると思います。
でも、家で弾いたらペンペンしたショボいクランチか、ジリジリのディストーションしか出ないので、あれれ?となりますよね。
それは、スピーカーキャビネットの影響を大きく受けているからです。
エレキギターの弦の振動は、アンプで増幅されて、最終的にはスピーカーから出る音とキャビネットに反響した音が「エレキギターの音」になります。
あの箱鳴りこそが、エレキギターの音です。スピーカーキャビネットは「楽器の一部」なわけです。
スタジオでアンプを鳴らしたら、簡単に気持ちいい音がでますよね。「ローランドのJCは嫌い」なんて言った方が上級者っぽくてカッコいい感じはしますが、家のちっこいアンプよりは弾いていて気持ちいいと思いませんか?
でも、スピーカーキャビネットの重要性を理解している人は、特にアマチュアのギタリストには多くないです。
理想の音を追求する時の盲点
「ミュージシャンの自宅スタジオにスピーカーキャビネットがズラっと並んでいるのは見たことあるけど、あれは上級者が最後に行き着く姿」みたいなイメージじゃないですか?
なぜそんなイメージになるかを簡単に説明します。
例えばエフェクターはどんどん新しい商品が出ますから、マーケットが盛り上がっています。買う側も知識が増えて、結果的にエフェクターにめちゃくちゃ詳しい人は相当数います。エフェクターは大事だ、という認識がどんどん強化されます。それに影響された人たちはまた、「いい音を出すためにはエフェクター!」となっていくんですね。
一方、スピーカーキャビネットにめちゃくちゃ詳しい人って、あなたの周りにはほとんどいないのではないでしょうか。いれば相当サウンドにこだわっている人だと思います。
スピーカー キャビネットは、売り手側があまり積極的に押してこない商品、買い手側も買わない商品です。盛り上がっていないから、知る機会が少ないので、結果的に盲点になりやすいわけです。
でも、実はサウンドに大きく影響するんですね、ペダル以上に、下手したらギター以上に、といっても過言ではありません。
スピーカーキャビネットはなぜギタリストに重視されないもう一つの理由
オーディオ機器で考えたら、良い音を出そうとしたらスピーカーが大事なことは当たり前ですよね。でもギターサウンドについてはその点はあまり語られません。なぜそんな重要なものが軽視される状況になるのでしょうか。
答えは、スピーカーキャビネットをしっかり鳴らすには音量がいるからです。家では鳴らせないくらい。だから一般のユーザーにニーズがありません。売り手としては売れないものは売りませんし、買い手としては欲しいと思わない物の詳しいことを知ろうとしませんよね。
結果、多くの人が「自分の理想サウンド」を求めて、ギターを買い換える、エフェクターを買い換える、ピックを、弦を、ケーブルを…と、スピーカーキャビネットをスルーして終わりなき旅に出ることになるわけです。
スピーカーキャビネットをしっかり鳴らせば、音質、音色、音圧ともにたまげるくらいいい音がします。チューブスクリーマーの音がバケモンサウンドになります。
マーシャルが轟音なのは4発スピーカーキャビネットを2段積みしているから、フェンダーが鈴鳴りなのはコンボ2発だから、とも言えます。
ここまでで、スピーカーキャビネットの重要性はご理解いただけたと思います。
しかし、家ではうるさくて箱鳴りさせられないのであれば、何の意味もないですよね。
具体的な解決策
解決策についてお話ししていきます。
具体的な解決策は、キャビネットシミュレーターを使うことです。
キャビネットシミュレーターとは
アンプ自体が鳴らせない環境では、箱鳴りを似せた音を作れば解決できます。マーシャルのズンズンした感じ、フェンダーのコロコロした感じがキャビネットシミュレーターを使えば小音量で再現できます。
キャビネットシミュレーターとは、その名の通りキャビネットがあたかもあるような音像を作り出すレコーディング機器(IRと言います)です。一昔前はプロユースでかなり高額だったり、PCソフトの中に内蔵された機能として付いていたりしました。近年、手ごろな価格でエフェクターサイズのキャビネットシミュレーターが増えてきており、密かな話題を読んでいます。
アンプシミュレーター付きのマルチエフェクターがありますのでそれのキャビネットシミュレータを使うのもありです。しかしキャビネットの種類が多くなく、設定の幅や音質はあくまでおまけ程度と考えた方がいいですね。
それでもオーソドックスなキャビネットは入っているのでそれで十分威力を味わえると思います。
筆者は歪み部分はお気に入りのペダルをすでに持っているので、キャビネットシミュレーター単体を繋いでさらに音を作り込もうと思いました。
単体のキャビネットシミュレーターは選べる種類も多く、音質も専用機ならではの迫力があります。
HOTONE BINARY CAB
筆者が購入したのはホットーンです。
決め手は操作性。モデリングの選択だけでなくマイキングの位置も直感的にさっと変えられるのが楽しそうだと思ってこれに決めました。
Mooer Radar
一番の売れ筋はこのレイダーです。品薄で買えない時期がしばらくありました。
1ボタンでシンプルな設計。発売から数年経った今でも、根強い人気を誇るモデルです。
Nux nss-3
2020年発売のモデル。コンパクトで低価格なのでこちらもおすすめです。同時切り換えは8種類ですがPCと接続してアップデートできるみたいですね。もっと前に発売していればこれにしていたかも…
まとめ
今回はスピーカーキャビネットの重要性についてお話ししてきました。
箱鳴りをしっかり出せれば、極論どんなエフェクターでもエレキギターらしい音が出せます。
今のサウンドに満足していない方は、一度スピーカーキャビネットを見直して、そのサウンドを100%引き出してみることをやってみてください。
また、家ではスピーカーから鳴らせない環境にある方は、ヘッドホンアンプをご存知ですか?BOSSから発売されている革新的なヘッドホンアンプについてのレビュー記事がありますので、参考にされてください。
参考:【レビュー】Boss WAZA-AIRを半年以上使いこんで見えてきたこと
シミュレーターではなくて、実際のアンプが気になる方は、筆者が小型アンプから大型アンプまで家で鳴らしてみた経験をもとに考察した記事がありますのでそちらをどうぞ。
参考:家で大型真空管アンプフルテンでブチギレられたので練習用アンプの考察まとめ
それでは、Love Guitar!
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