
こんにちは、ギタリスト/ギターブロガーのRimo(@RimoGt)です。
マルチエフェクターって、買った瞬間がいちばん楽しいですよね。
歪みもある。ディレイもある。リバーブもある。アンプモデルもある。最近の機種だと、IR、USB録音、Bluetooth、NAM系の機能まで入っていたりします。
もう、だいたい何でもできます。
でも、何でもできる機材は、何をすればいいのか分からなくなる機材でもあります。
気づいたらプリセットを順番に鳴らして、少し気に入って、でも次のプリセットも気になって、また戻って、結局よく分からなくなる。
ありますよね。
今回は、特定のマルチエフェクターのレビューではありません。
BOSS GX-1、Valeton GP-50、Sonicake Pocket Master、Zoom MS-50G系など、どの機種でも使える「音作りで迷子にならない考え方」を整理します。
結論から言うと、最初に触るのは3つだけでいいです。
- 歪み量
- 音の明るさ
- 残響の量
この3つです。
最初から全部触ると、ほぼ迷子になります。
まず「ゼロから作る」をやめる
マルチエフェクターで挫折しやすい人ほど、なぜかゼロから音を作ろうとします。
まっさらなパッチを開く。
アンプを選ぶ。
キャビを選ぶ。
歪みを足す。
コンプを入れる。
EQを触る。
ディレイを足す。
リバーブを足す。
このあたりで、だいたい分からなくなります。
もちろん、上級者ならそれでもいいです。自分の中に「こういう音にしたい」という基準があるなら、ゼロから組むのは楽しいです。
でも、初心者や、音作りに苦手意識がある人は、最初からゼロに戻らない方がいいです。
おすすめは、まず「近いプリセット」を選ぶこと。
完全に理想じゃなくて大丈夫です。
「方向が近い」くらいでいいです。
クリーンならクリーン。クランチならクランチ。リードならリード。そこだけ合っていれば、最初の入口としては十分です。
プリセットは完成品ではなく、地図です。
そのまま使うものではなく、自分の音へ向かうための出発点だと思うと、急に使いやすくなります。
触るもの1:歪み量
最初に見るのは、歪み量です。
だいたい GAIN、DRIVE、DIST みたいな名前になっています。
ここで大事なのは、歪みは多いほど気持ちいいけれど、多いほど弾きにくさを隠すということです。
家でひとりで弾いていると、歪みが多い方が気持ちよく聴こえます。音が伸びるし、ミスも少し丸まるし、弾けている気がします。
でも、コードを鳴らした時に音がつぶれるなら、少し多いです。
ピッキングの強弱が全部同じに聴こえるなら、少し多いです。
低音弦がボワッとして、何を弾いているか分からないなら、たぶん多いです。
まずは、気持ちいいところから少しだけ下げてみてください。
「もうちょっと歪ませたいな」と思うくらいで止める。
実は、そのくらいの方が録音した時に強かったりします。バンドで混ざった時にも、音の輪郭が残ります。
歪みは、足すより引く方が難しいです。
だから最初は、少し足りないくらいから始めるのがおすすめです。
触るもの2:音の明るさ
次に触るのは、音の明るさです。
機種によって名前は違います。
TONE、TREBLE、PRESENCE、EQ、HIGH などですね。
ここでよくある失敗は、「抜けない音」をゲインで解決しようとすることです。
音が前に出ない。
ソロが埋もれる。
なんか弱い。
そう感じると、つい歪みを増やしたくなります。でも、実際にはゲインではなく、明るさや中域の問題であることが多いです。
音が痛いなら、TREBLEやPRESENCEを少し下げる。
音がこもるなら、少し上げる。
それでも前に出ないなら、MIDDLEを少し上げる。
ギターは中域の楽器です。
低音を増やしすぎると、ひとりでは太く聴こえます。でも、ベースやドラムと混ざると、かえって輪郭がなくなります。
高音を増やしすぎると、最初は抜けたように感じます。でも、長く聴くと耳が疲れます。
だから、迷ったら中域です。
「太さ」と「抜け」の間に、ギターの居場所があります。
ここは、Rimo的にもかなり面白いところです。
ギターの音作りは、きれいに整えればいいわけではありません。少しザラついていて、でも曲の中でちゃんと立っている。その不安定さが気持ちよかったりします。
触るもの3:残響の量
最後に触るのは、残響の量です。
リバーブやディレイですね。
ここも、家で弾いていると増やしたくなります。
リバーブを深くすると、うまくなったように聴こえます。ディレイを足すと、ソロが広がります。ヘッドホンで弾くと、特に気持ちいいです。
でも、残響は料理でいうソースみたいなものです。
かけすぎると、素材が分からなくなります。
最初は少なめでいいです。
リバーブなら、音が急に乾きすぎないくらい。
ディレイなら、弾いたフレーズの後ろにうっすら影が残るくらい。
「かかってる?」と思うくらいで止めても、録音して聴くと意外と効いています。
逆に、弾いている本人が気持ちいい量まで上げると、聴く側には少し多いことがあります。
特に練習用の音と、録音用の音と、ライブ用の音は別物です。
家のヘッドホンで最高の音が、スタジオで最高とは限りません。
だから、残響は最後に足す。
そして、足したあとに少し戻す。
これだけでも、音作りはかなり整理されます。
一度に全部変えない
音作りでいちばん大事なのは、一度に全部変えないことです。
ゲインを上げて、EQを変えて、リバーブを増やして、アンプモデルも変える。
これをやると、何が良くて何が悪かったのか分からなくなります。
おすすめは、1回につき1つだけ変えること。
歪み量を変えたら、いったん弾く。
明るさを変えたら、いったん弾く。
残響を変えたら、いったん弾く。
地味です。
でも、これがいちばん早いです。
音作りは、派手に触るほど遅くなります。
少し変えて、弾いて、聴いて、戻る。
この往復で、自分の耳が育ちます。
保存名をちゃんとつける
地味ですが、保存名も大事です。
せっかく良い音ができても、どこに保存したか分からなくなると終わりです。
おすすめは、用途で分けること。
01_RHYTHM
02_LEAD
03_CLEAN
04_AMBIENT
こんな感じで十分です。
かっこいい名前をつけるより、あとで迷わない名前の方が強いです。
そして、元のプリセットは上書きしない方がいいです。
コピーして、自分用に育てる。
この感覚がかなり大事です。
マルチエフェクターは、買った瞬間に完成する機材ではありません。
少しずつ、自分の生活に馴染ませていく機材です。
買ったのに使わなくなる人の共通点
マルチエフェクターを買ったのに使わなくなる人には、だいたい共通点があります。
最初から完璧な音を作ろうとする。
プリセットを全部試そうとする。
YouTubeの音と比べすぎる。
音作りだけで疲れて、ギターを弾く時間が減る。
これは、かなりもったいないです。
マルチエフェクターは、弾く時間を増やすための道具です。
音作りに何時間も吸われて、結果的に弾かなくなるなら、本末転倒です。
だから最初の目標は、最高の音ではなく「今日も弾ける音」でいいです。
これ、本当に大事です。
少し歪んでいて、少し空間があって、弾いていて気持ちが途切れない音。
そこまで行けたら、最初は成功です。
どんな人に向いているか
このやり方が向いているのは、こんな人です。
- 初めてマルチエフェクターを買った人
- BOSS GX-1やValeton GP-50のような機種で音作りに迷っている人
- プリセットを鳴らすだけで終わってしまう人
- 宅録やヘッドホン練習で使いたい人
- 以前マルチを買って、置物にした経験がある人
逆に、すでに自分の音作りの基準がある人は、もっと細かく触っていいです。
アンプモデル、キャビ、IR、コンプ、パラEQ、ノイズゲート、ルーティング。
その世界はその世界で楽しいです。
ただ、最初からそこへ入る必要はありません。
沼は、入口が分かってから入った方が楽しいです。
Rimoの結論
マルチエフェクターの音作りは、自由です。
でも、自由すぎると人は止まります。
だから最初は、あえて狭くする。
触るのは、歪み量、音の明るさ、残響の量。
この3つだけでいいです。
プリセットを選んで、少しだけ削って、少しだけ足して、自分の手に戻ってくる音にする。
音作りって、結局そこだと思います。
完璧な音を作ることではなく、今日の自分が弾き続けられる状態を作ること。
安定しているようで、少しずつ変わっていく。
昨日と同じパッチなのに、今日のピッキングで少し違って聴こえる。
そういう音の方が、長く付き合える気がします。
マルチエフェクターは、便利な箱です。
でも本当は、便利さよりも「また弾きたくなる入口」を作れるかどうかが大事です。
迷ったら、全部を触らない。
3つだけ触って、まず弾く。
それで十分、音作りは前に進みます。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、Love Guitar!



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