
こんにちは、ギタリスト/ギターブロガーのRimo(@RimoGt)です。
マルチエフェクターの製品ページを開くと、数字が一気に押し寄せてきます。
エフェクト125種類以上。アンプ30種類。プリセット99個。NAM、IR、USBオーディオ、Bluetooth……。
ギターを始めたばかりの人ほど、こう思うかもしれません。
「便利そう。でも、自分に使えるのだろうか」
SORAN(ソーラン)のDual Stompシリーズは、1万円前後の小さな筐体に、音作り、ヘッドホン練習、リズム練習、録音まで詰め込んだマルチエフェクターです。日本ではDual Stomp、Dual Stomp Lite、Tiny Stompの3機種が販売されています。
先に結論を言うと、SORANは初心者の最初の一台として候補になります。
ただし、向いているのは「機能を全部使いたい人」ではありません。最初はプリセットを選び、音量を合わせ、ギターを弾く。それだけで始められる人です。
この記事は実機を試奏したレビューではありません。メーカーの公開仕様、国内販売情報、公開されている購入者レビューをもとに、初心者が買う前に知っておきたいことを整理します。音質や弾き心地は断定せず、実際に何ができるのか、どこで迷いやすいのかを見ていきます。
SORAN Dual Stompシリーズは、何をする機材なのか
一言でいえば、ギターの音を作る機材です。
歪み、コーラス、ディレイ、リバーブといったエフェクトだけでなく、アンプとスピーカーキャビネットの鳴り方も再現します。つまり、複数のコンパクトエフェクターとギターアンプの一部を、小さな箱の中へまとめたものです。
さらに、Dual Stompシリーズには練習や録音のための機能も入っています。
- ギター用80、ベース用19の計99プリセット
- 40秒のステレオルーパー
- 100種類のドラムパターン
- Bluetoothでスマートフォンの音源を再生
- USBでパソコンへ録音できるオーディオインターフェース機能
- 充電式バッテリー
「マルチエフェクター」という名前ですが、実際には音作り、練習、録音の入口を一台にまとめた小さなギター環境、と考える方がわかりやすいと思います。
最初に知っておきたい。SORAN本体から音は出ない
ここは初心者が間違えやすいところです。
SORANの本体にはスピーカーがありません。ギターとSORANだけをつないでも、完成した音を大きく鳴らすことはできません。音を聴くためには、ヘッドホン、ギターアンプ、パワードスピーカー、または録音・モニター設定をしたパソコンなど、出力先が必要です。
いちばん簡単なのはヘッドホン練習
Dual StompとDual Stomp Liteには、一般的なイヤホンと同じ3.5mmの専用ヘッドホン出力があります。Tiny Stompもヘッドホン練習に対応しますが、出力は6.35mmのステレオ端子と兼用です。3.5mmプラグのヘッドホンを使う場合は、変換アダプターが必要になります。
ギター → SORAN → ヘッドホン
この接続なら、アンプを別に用意せず、夜でも小さな音量で練習できます。Bluetoothでスマートフォンから曲を流せば、好きな曲に合わせて弾くこともできます。
接続するときは、SORAN本体の音量を最小にしてから、少しずつ上げてください。プリセットを切り替えると音量差が出ることもあるため、最初は耳を守るくらい慎重で大丈夫です。
音を出すまでの配線が短いことは、初心者にとって思っている以上に大事です。電源をいくつも入れ、ケーブルを何本もつなぐ必要があると、弾く前に少し疲れてしまいますから。
ギターアンプにつなぐ場合
ギター → SORAN → ギターアンプという接続もできます。
ただし、SORAN側にもアンプとキャビネットのシミュレーションが入っているため、接続先によっては音がこもったり、歪みすぎたりすることがあります。PAやパワードスピーカーのようなフルレンジ機器ではAMPとCABを使い、通常のギターアンプのINPUTへ入れる場合は、アンプをクリーンにしたうえでCAB、必要に応じてAMPもオフにするところから試すと整理しやすくなります。
どの接続でも、最初はSORAN本体と接続先の音量を最小にし、少しずつ上げてください。接続先に合わせたAMPやCABのオン/オフは、少しだけ知識が必要になる部分です。
パソコンへ録音する場合
USB-Cケーブルでパソコンにつなぐと、SORANをオーディオインターフェースとして使えます。別の録音機材を買わなくても、ギターの音をパソコンへ送れる仕組みです。ただし、USBを挿しただけで必ずパソコン本体から音が出るわけではありません。録音ソフト側でSORANを入力に選び、モニター設定を行い、パソコン側のスピーカーまたはヘッドホンから聴く準備が必要です。
録音ソフトの設定は必要ですが、「いつか自分の演奏を録ってみたい」という人には、あとから広げられる余地があります。
125種類以上ある。でも、最初に使うのは3つでいい
125種類以上と聞くと、その数だけ覚えることがあるように見えます。
実際は、そんなことはありません。
最初は次の3つだけで十分です。
- 気に入ったプリセットを選ぶ
- 全体の音量を合わせる
- 歪みの量を少しだけ変える
リバーブを少し減らしたい、音が明るすぎるので調整したい。そう感じたときに、初めて次の項目へ進めばいい。
マルチエフェクターは、すべての機能を同時に使うためのものではありません。必要になった機能から、少しずつ表へ出していく機材です。
NAMとIRは、いったん知らなくて大丈夫
SORANの特徴として、NAMと外部IRの読み込みが大きく紹介されています。
NAMは、実在するアンプなどの音の反応をデータとして再現する仕組み。IRは、スピーカーキャビネットやマイクの鳴り方を記録したデータです。
どちらも音作りの可能性を広げる機能ですが、初心者が最初から使う必要はありません。内蔵されているアンプ、キャビネット、プリセットだけでも、音作りは始められます。
NAM対応は「今すぐ使いこなす機能」ではなく、「あとから興味が出たとき、機材を買い直さずに進める余白」と考えるくらいがちょうどよさそうです。
3機種の違い。迷ったらDual Stomp Liteを基準にする
| 機種 | 国内価格の目安 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| Tiny Stomp | 8,580円 | 机上向けの最小モデル。約250g、バッテリー最大4時間。6.35mmのステレオ出力はヘッドホン兼用。外部フットスイッチやエクスプレッションペダルに対応 | とにかく小さく、安く、自宅や録音中心で始めたい人 |
| Dual Stomp Lite | 13,800円 | 2つのフットスイッチ、ヘッドホン出力、バッテリー最大6時間 | 練習からスタジオまで、一台で無理なく始めたい人 |
| Dual Stomp | 15,800円 | ワウ/ボリューム操作に使えるエクスプレッションペダルを内蔵。ヘッドホン出力、バッテリー最大6時間 | 足元で音量やワウを操作したい人 |
価格は2026年8月25日に確認したサウンドハウスの税込表示です。販売価格と在庫は変わる可能性があります。
初心者の基準機としては、Dual Stomp Liteがいちばん整理しやすいと思います。
Tiny Stompは安くて小さい反面、机上で使う性格が強く、足元で操作したい場合は外部機器が必要です。通常のDual StompはLiteより2,000円高いだけなので、ワウやボリュームペダルを使いたいなら、最初から通常版を選ぶ理由があります。
逆に、ワウを使う予定がなく、少しでも小さくしたいならLiteで十分。機能の多さより、どこに置いて、どう操作するかで選ぶ方が失敗しにくいでしょう。
初心者に向いているところ
プリセットから始められる
ゼロから歪み、アンプ、キャビネット、空間系を組み上げなくても、用意されたプリセットを選んで音を出せます。最初の一音までが短いのは、大きな利点です。
ドラムとルーパーが練習を少し変える
メトロノームだけでは味気ないと感じる日でも、ドラムパターンなら曲に近い感覚で弾けます。40秒のルーパーを使えば、自分で弾いたコードの上に短いフレーズを重ねることもできます。
ただ音を変える箱ではなく、弾いた音をもう一度聴き、重ね、違いを確かめる箱でもあります。
充電式で配線を減らせる
Dual StompとLiteは最大6時間、Tiny Stompは最大4時間のバッテリー駆動に対応しています。自宅練習で毎回電源アダプターを広げなくてよいのは、地味ですが使う頻度に影響する部分です。
買う前に知っておきたい注意点
多機能であることと、迷わないことは別
2インチの画面があり、操作を助けてくれます。ただし、エフェクトの順番、アンプ、キャビネット、出力先まで触り始めると、初心者には項目が多く見えるはずです。
「全部わからないと使えない」と感じる人には、つまみの少ない練習用アンプの方が合う可能性もあります。
初期プリセットが自分に合うとは限らない
サウンドハウスで公開されている少数の購入者レビューには、Bluetooth、充電式、アプリ操作を便利とする声がある一方、プリセットやチューナーの使いにくさ、高いゲインでのノイズに触れた報告もあります。また、充電しながら使うとノイズが乗るという個人の使用例もありました。
これはすべての個体や環境で起きると断定できる話ではありません。ただ、安いから何も考えずに完璧な音が出る、と期待しすぎない方がよいでしょう。まずバッテリー駆動で試し、音量と歪みを控えめにして、少しずつ調整するのが現実的です。
新しいブランドなので、長期実績はまだ短い
SORANは2024年創業を掲げる新しいブランドです。2026年6月にはStompシリーズ向けのファームウェア更新が公開され、WindowsとMac用の更新環境も用意されています。
サポートが動いていることは確認できますが、何年も使ったときの耐久性や長期的なソフトウェア対応は、まだ評価が積み上がっている途中です。BOSSやZOOMのような長年の実績を最優先する人は、比較してから決めても遅くありません。
SORANを選んでよい人、少し待った方がよい人
選んでよい人
- 1万円前後で、音作りとヘッドホン練習をまとめたい
- ドラムに合わせて練習したい
- 将来はパソコン録音やNAMも試してみたい
- 最初はプリセット中心で、少しずつ覚えられる
- 充電式の小さな機材で、弾き始めるまでの手間を減らしたい
少し待った方がよい人
- 画面のメニュー操作が苦手で、つまみだけで完結したい
- スピーカー内蔵で、ギターを挿したらすぐ鳴る機材が欲しい
- ライブで長年使える実績と国内サポートを最優先したい
- 実機の音を確認せずに買うことへ不安がある
最後に当てはまるなら、急いで決めなくて大丈夫です。動画の音だけでなく、可能ならヘッドホンや手持ちのアンプで試奏し、自分の接続環境でどう鳴るかを確認する方が確実です。
まとめ。最初の一台は、全部を使う一台でなくていい
SORAN Dual Stompシリーズは、低価格、小型、充電式という入りやすさの中に、アンプモデリング、エフェクト、ドラム、ルーパー、録音機能まで持っています。
機能だけを見れば、初心者には多すぎます。
でも、多すぎる機能が、すぐに使わなければいけないわけではありません。
今日はプリセットで弾く。明日はドラムを鳴らす。録音したくなったらUSBをつなぐ。音にこだわりたくなったらNAMやIRを調べる。
道具の側に用意された可能性と、自分が今日使える範囲が、ぴったり一致していなくてもいい。
最初は、全部使わなくていい。
一つの音を出して、もう少し弾いていたくなる。その距離まで機材が近づけてくれるなら、SORANは初心者の最初の一台として、十分に検討する価値があると思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、Love Guitar!



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