
今回はシリーズ化しています。この記事が第3回になります。第1回の「ピックの選び方」はこちら、第2回の「ピックの持ち方」はこちら。
前回までの適切なピック選び、ピックの持ち方ができたら、今度はいよいよピッキングのときの手の動きについて考察していきましょう。
よくいわれている「脱力」に関しては、第2回で紹介した持ち方ができていれば力の抜けたピッキングはできます。
今回はその次のステップとして、ピックの動かし方です。
筆者の苦い経験
Rimo(@RimoGT)は長年かけて、ピッキングに関する情報を集めながら、自分のピッキングを修正してきました。他の人のを真似てみたり、どうやっているかを聞いてみたりしながら、絶えず改善をしてきました。
その結果、一般的に言われている「ピッキングのやり方」のメジャーどころについては大体把握できました。その中から、自分にあったものをピッキングスタイルとして取り入れて、確立させようとしました。
しかし、解釈をいくつか誤解していたために、完全にドロ沼にハマり、思ったようにギターが弾けなくなってしまいました。そんな時、あらためて思い詰めるのをやめ、いったん頭を冷やして一からピッキングを身につけようと考え、いろいろと検証を繰り返していったところ、ある答えにたどり着くことができました。
自分のスタイルが定まらず、弾けなかった時期は本当に心が折れました。しかし今は、そのおかげでピッキング沼から脱出できたなと実感できるレベルに来たのではないかと思っています。
今回はそれをまとめ的に話していきます。
注意していただきたいのは、先ほど述べたように、勘違いしやすいポイントがいくつかあるということです。
ですから、ハマりやすいポイントに焦点を当てて説明していきます。
速弾きのピッキングについても触れていきます。
結論:基本のピッキングの動きを身につけて、バリエーションを増やす
結論を先にいうと、
初心者のうちは間違った手の動きでピッキングをやってしまう傾向にある。
なのでまずははじき方の基本イメージを知る。
基本が理解できたら、弦を何本弾くか、何弦を弾くか、何フレットを弾くか
それによってやり方を変えてピッキングする、ということです。
こんな話を聞いたことあるのでは?
ピッキングのやり方についての解説でしばしば見受けられるのが、「手についた水を切る動き」とか、「うちわをあおぐ動き」といった日常の生活の動きをイメージさせる表現か、「肘を使う」「手首を使う」といった体の部位をさす表現です。
これらは、どれも正解ですが、必ずしも「同じピッキング」のことを指して言っているのではないので混乱しやすいです。
ギターのピッキングは一通りではないのです。
しかし、たった一つの「ピッキングの基本」が存在します。まずはそれを覚えましょう。
間違ったピッキングと、基本となるピッキング
初心者のうちは、アタックの時に「弦にピックを置く(触れる)」、「次にはじく」という動きになりがちです。
弓矢を引っ張って離すような動きをイメージしてみるとわかりやすいと思います。この弾き方では音がもたつきます。
弦の位置がまだ把握できていないので、さぐりさぐり弦の位置を確かめるためにどうしてもそんな動きになります。
音の重さやモタりを表現するときにあえて弓矢のようなはじき方をするテクニックはありますが、基本の動作ではありませんので意識して改善していく必要があります。
基本のイメージは、「ストロークの通過点に弦をはじくポイントがある」ということです。
弦より少し上のあたりから、弦より下のあたりに向けて、勢いをつけてピックをスパッと振り下ろす。
途中で弦に当たって音が鳴る。このイメージです。
弾きたい弦の本数によって手の動きは変わる
この動きが、「手についた水を切る」イメージに近いということでしばしばこの表現が用いられます。
弦を1本だけ弾くとき、2本弾くとき、3本、4本…と本数が増えるごとに、振り幅がふえるのはわかりますよね。
しかし、1本の弦を弾く時にはそこまで大きく降ることはありませんので、あくまで「手についた水を切る」イメージは弦を3本か4本同時に弾くときの動きで、1本や2本のときは手首や肘の動きを小さくしたものだと考えてください。
体の動く量と、動く箇所が徐々に変わっていきます。
1本弾く時は手の振る量は小さく、6本弾く時は大きくなり、それに合わせてピックが動く量も変わります。
また、1弦を弾くときと6弦を弾くときでは手の位置やミュートの仕方も違います。
そのとき、何本の弦を弾くにしても、弦にあたるピックの深さをなるべく均一にして、安定したアタックを得たいわけですね。
ですので安定したアタックを得るための動きを知ることが必要となってきます。
それは一体どのような動きでしょうか。
「手首で弾く」「肘で弾く」も間違い?

基本の動きを実際にやってみようとするときに、肘や手首といった、関節をどれか一つ「単独で使う」イメージを持たれているとうまくいきません。
ピッキングのとき、実は体は複数の関節を使って、複雑な動きをしています。
ピッキングはギターのボディに対してなるべく水平に動かすわけですが、一つの関節を動かしただけではピックはギターに対して水平には動きません。
手首や肘の動きにも種類があって、
- 金づちを打つときの動き
- うちわをあおぐときの動き
- 手まねきするときの動き
それぞれ違う関節の複合的な動きになっていますよね。複数の関節が同時に動いてあの動きを出しています。
ですからピッキングにおいても同じで、手首とか肘とか、単独の関節だけが動くことはありません。ですから動作のイメージに「手首」とか「肘」とか特定の関節を取り上げるのはよくないのです。
硬く変な動きになる可能性大です。
お手本
お手本動画を載せますのでご覧ください。大橋英之さんのプレイです。
この動画は商品レビュー動画ですが、カメラアングルがちょうどピッキングの見えやすいですし、この方のピッキングがめちゃくちゃうまいので紹介させていただきました。
単音弾きの時も大きくストロークする時も、上から下にスパッと切るようにアタックしているのがわかると思います。
ときおり弓矢のように引っ張ってはじくテクニックも混ぜています。サウンドの違いを聞いてみてください。
この素晴らしいトーンはVOXのNutubeを搭載したペダルによるところもありますが、このしっかりとしたピッキングテクニックがあってこそなのを忘れないでください。
とはいえ、このペダルいい音ですね。気になるペダルです。
速弾きのピッキングは?
以上のことを踏まえた上で、速弾きのピッキングについてお話しします。
速弾きのピッキングについては人によって賛否ありますが、筆者が取り入れて改善したピッキング方法、ポールギルバート氏のピッキングについて触れていきます。
氏は、「犬の背中を掻くようにピッキングするんだ」とおっしゃっています。
これはどういうことかというと、手首の「尺屈(しゃっくつ)」と「撓屈(とうくつ)」を使って弾く、ということです。
尺屈とは、手首を小指方向に曲げる動き。

撓屈とは、親指側に曲げる動き。

写真は少々大袈裟に曲げていますが、この2つの動きでピッキングをするということです。
もちろん前述のように、この2つの動きだけで弾くということではありません。
掌屈と背屈という動き(手まねきするときの動き)も同時に入りますが、積極的に動かすのは尺屈と撓屈の方向であり、手首の回転ではないということがポイントです。
オルタネイトピッキングやストリングスキッピングが非常に安定し、バイト感のあるサウンドになります。ピッキングハーモニクスもフルピッキングの締めにスパッと決めやすいです。
Rimoは長い間、回転方向主体でピッキングしていましたが、速いテンポにいつまで経っても上がらないで悩んでいました。このスタイルに変えて解決しました。
スピードが上がらなくて悩んでいる人は、自分が手首の回転で弾いていないかチェックして、スパッと振り抜くピッキングをぜひ試してみてください。
最後に
今回覚えておいていただきたいのは、「ストロークの通過点に弦をはじくポイントがある」ということです。
弦に一回触れてから引っ張ってはじく「弓矢の動きではない」にならないように注意して練習していきましょう。
その基本を押さえて練習すれば、そこからピッキングの引き出しを増やしていけます。ギターを弾くのが楽しくなります。
私がかつてハマってしまった「ピッキングが定まらない、上達しない」というドロ沼にハマらずに済むと思います。
その中でも、速弾きには尺屈と撓屈を使うと弾きやすいので参考にされてください。
具体的な練習方法については、次回、シリーズの最終回 ピッキング練習でお伝えいたします。
第1回 ピックの選び方 第2回 ピックの持ち方も併せてご覧ください。
それでは、Love Guitar!



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