こんにちは、ギターブロガーのRimo(@RimoGt)です。
シンプルなメロディを弾くと、なんだか幼稚っぽく聞こえてしまう…
かといって難解なメロディは弾けない…
上手な人は、シンプルなメロディをなんであんなにカッコよく弾けるんだろう!?
と思ったことはありませんか?
シンプルなメロディが幼稚に聴こえる理由
それには、ちゃんと理由があります。
ギターという楽器は、音を鳴らした瞬間が最も大きく、どんどん音が減衰していきます。サックスやバイオリンなどに比べて音の伸びが弱く、なんとも頼りない響きになります。
だから、上手に演奏するには、カッコよく聞こえるためにひと手間加えてやる必要があるんですね。
上手な人は、そこを押さえて演奏しているわけです。
ギターテクの王様「泣きのチョーキング」!
やり方は色々ありますが、代表的なのはなんと言ってもチョーキングです。
チョーキングは歌でいう「コブシ」みたいなもので、メロディを豊かに表現するには最も効果的な方法と言えます。
「チョーキングくらい知ってるし、できるよ!」という方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
ひとことにチョーキングといっても、単に音程を上げるだけでは、メロディは豊かになりません。
「泣きのチョーキング」と言われる素晴らしいチョーキングを弾きこなすには、音楽的な意味の理解が必要です。
今回ご紹介する内容で、音楽的な意味を持ったチョーキングを身につけることができます。
この記事では、動画と指板を使って、TAB譜も楽譜も使わずに直感的に理解していただけます。
それでは、フレーズ解説にいってみましょう。
今回は、「シンプルな旋律を泣きのチョーキングで鮮やかに彩るフレーズ」です。
フレーズを聴いてみよう
まずは#12のフレーズをお聴きください。
(動画は#12の5分33秒から再生されます。)
シンプルなメロディだけどエモさもある、ギターらしいフレーズです。
指板図で確認
このフレーズをあらためて指板図で確認しましょう。
注:動画の表記に2つ誤りがありました。
①「1H.C.」(一音半チョーキング)と表記される部分が、実際の演奏は「C」(一音チョーキング)です。
②最後の「C」と表記される部分が、実際の演奏は「H.C」(半音チョーキング)です。
指板がどう映っているのか
コードで確認
キーAのフレーズです。2弦と3弦のみのフレーズですが、コードトーンとして抑えておきたいのは2弦10フレットがルート、13フレットが短3度、という音になることです。
スケールで確認
同時に、5弦12フレットと2弦10フレットにルートのある、Aメジャーペンタのボックスをイメージします。
やや規則性が低く覚えにくい形ではありますが、使用頻度の高いポジションです。
脱初級にはぜひイメージできるようになりたいところ。
このシリーズでは何度も出てくるので少しずつ記憶に残ってくると思います。
Aメジャーペンタを重ねるとこんな感じ。
ここではボックスの中のほんの一部しか音を使いませんが、実際の演奏では連続的に色々なフレーズを弾きますので、自分がどこのポジションで演奏しているのか見失わないようにするためにこのイメージは持っておいた方が良いでしょう。
どのような音の構成になっているのか
メロディはとてもシンプルです。
わかりやすいようにルートを「ド」とすると
「ドレミーレド、ファー、ミー、ドー」となります。
元となるメロディがシンプルであればあるほど、実は演奏レベルの差が現れます。
演奏がうまい人は、シンプルなメロディにしっかりと装飾を加えて豊かな演奏をします。
音数をやみくもに増やしたりしません。
このフレーズで言えば、3回のチョーキングを加えて、元のメロディをギンギンに際立たせています。
3回のチョーキングを、ひとつづつ見てみると、
1回め 2度→(短3度)→長3度
2回め 短3度→(長3度)→4度
3回め 短3度→長3度
となります。
あえて途中の経過音を( )で書きました。
全て、短3度(たんさんど)と長3度(ちょうさんど)を含んだチョーキングになっているのがお分かりいただけると思います。
短3度と長3度を連続的に響かせることで、「切ない感じ」と「明るい感じ」が共存したような、人の心をグッとつかむ表現ができます。
これをブルーノートによるアプローチといい、ブルースの常套手段です。
誰もが、何回聞いても、心揺さぶられる旋律なんですね。
フレーズの肝は
フレーズの肝は先に述べた3回のチョーキングです。
チョーキングした後の音程のコントロールをすることで、豊かなニュアンスが出せます。
チョーキングのスピードを、スパッと上げてみたり、ジワーっと上げてみたりしてみてください。
強く弾いたり、優しく弾いたりしても面白い効果が得られます。
自分の心が乗り移ったように音が出せるようになれば、それがまさに「泣きのチョーキング」です!
また、1回めと3回めは長3度まで上げるチョーキングですが、あえて長3度よりやや低めの音程で止めてしまってもいいです。
切なさ倍増でいい感じに響きます!
この「短3度と長3度のあいだの音程」を、ブルーノートということもあります。
ピアノでは出せない、ギターならではの音程です。
もう一度聴いてみよう
今回のフレーズをもう一度聴いてみましょう。
(動画は#12の5分33秒から再生されます。)
まとめ
今回のフレーズのまとめです。
このフレーズは、
2弦10フレットがルート音となるAコードをイメージしつつ、5弦ルート(12フレット)のAメジャーペンタトニックを想定
シンプルなメロディを、チョーキングで装飾する
短3度と長3度を含んだチョーキングで、切なさと明るさを表現するのが肝
このように解釈できます。
最後に
今回は#12をご紹介しました。
チョーキングというテクニックはとても奥が深く、中でも短3度と長3度を含んだチョーキングは特に心に刺さるニュアンスが出せます。
チョーキング=音を上げるテクニック、という無機質な理解からもう一歩踏み込んで、表現者としてのレベルを上げることができると思います。
あなたのギターの引き出しがひとつ増えたなら幸いです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もお楽しみに。
最後に、「もっとフレーズの引き出しを増やしたい!」という方はこのシリーズの他の記事を覗いてみてください。
参考:【目次】ズボラギタリストがフレーズ100個覚えるためのノート
それでは、Love Guitar!
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